【193】米国自動車保険とアンブレラ保険
【米国自動車保険】
ご存知の通り、日本の自動車保険は自賠責保険とその上乗せの任意自動車保険の2階建になっています。
これに対してアメリカでは、日本の自賠責保険に当たる強制保険がない代わりに、各州ごとに自動車保険最低補償条件(Minimum Car Insurance Requirements)を定めた法律が存在します。例えばカリフォルニア州では以下の最低補償額が規定されています。他州の規定も似たり寄ったりで、桁違えかと疑ってしまうほど低い金額となっています。
・対人:$15,000/1名・$30,000/1事故
・対物:$5,000/1事故
アメリカで加入する自動車保険は、各州で規定される最低補償額をクリアしてれば良いことになりますので、総じて補償限度額は低めになっています。保険会社やプランによっても異なりますが、例えば対人(1名)の補償限度額については、$100,000~$300,000とする保険会社が多いようです。
「対人無制限」が当たり前の日本人からすると、対人$100,000(約1,100万円*)の保険では、とても怖くて車の運転はできません。しかも、世界でも有数の訴訟社会と言われてるアメリカで、もし事故相手が亡くなったり、寝たきり状態になった場合を考えますと、なおさらハンドルを握る気が起こりません。
【アンブレラ保険】
実は、アメリカ人の多くが「アンブレラ保険」に密かに加入しており、もし事故相手から自動車保険の賠償限度額を超えて訴えられた場合に、アンブレラ保険を使うようです。アンブレラ保険の補償限度額は、$1,000,000(約1億円1千万円*)が一般的と言われています。
何故、アメリカ人は密かにアンブレラ保険をかけるのでしょうか?その答えは、世界でも有数の訴訟社会といわれるアメリカならではの特異な事情にあるようです。
仮に、自分の過失で自動車事故を起こしたとしましょう。事故相手は先ずこちらの自動車保険の補償限度額を確認し、その限度額まで賠償請求をしてきます。更に、その自動車保険の賠償限度額では不足と判断すれば、こちらの個人資産を調べた上で、可能な限りの賠償請求をしてくる可能性があります。
その際に使うのが「アンブレラ保険」です。アメリカ人は「自動車保険」を、いわば見せ球として使い、「アンブレラ保険」を隠し玉として使い分けているようです。
アメリカで車を運転する方には、自己防衛手段としてのアンブレラ保険の加入を強くお薦めいたします。